リリース
この度当社は、サステナブルな農法を実践する生産者とサステナブルな原料を求めるメーカーをマッチングしWEB上で原料の売買を行うプラットフォームの『SCOPE 3 Neo』をローンチしました。
登録生産者第一号は当社のサプライヤーのトメアス総合農業協同組合(CAMTA)であり、アグロフォレストリー栽培によるCO2吸収量が「削減量」として原料に紐づけられます。
当社ではサステナブルソーシングが「特別な選択」ではなく「当たり前の選択」になる社会をつくるため、『SCOPE 3 Neo』の運用を通してアグロフォレストリー栽培によるサステナブル原料の利用促進に努めてまいります。

■SCOPE 3 Neoの特徴
『SCOPE 3 Neo』は、企業に開示が義務化されていくScope3排出量を、ネットゼロだけではなくネットマイナスをも実現するために生まれました。プラットフォームに集まるのは、「本当に持続可能であり、CO2削減量が排出量と同等あるいは上回ることを証明できる原料」だけ。ISO14067やGHGプロトコルといった国際基準に準拠し、政府の公的データや学術的な知見に裏付けられた透明な情報をもとに、バイヤーと生産者が安心して繋がれる場を提供します。

SCOPE 3 Neoの仕組み
■プラットフォーム構築に係るパートナー
プラットフォームは企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるテクノロジーファームのOnplanetz株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:権 暁成)がシステム開発ならびに制作を担いました。またCO2削減量については、自然由来カーボンクレジットのデューデリジェンスおよび調達支援を専門とする株式会社sustainacraft(本社:東京都目黒区 代表取締役:末次 浩詩)がISO14067 や GHG プロトコルといった国際基準を踏まえた算出方法やモニタリング体制に関する助言を行いました。
■SCOPE 3 Neoのメリット
①CO2排出量の削減が可能
農場内の樹種が吸収したCO2量をScope3対応の「削減量」として原料に紐づけ、原料の購入により企業のCO2排出量の削減を実現することができます。
②生産者とメーカーをマッチング
サステナブル原料の売買を希望するメーカーと生産者のビジネス機会を創出します。生産者生産者にとっては生産物の「売り先」があることが重要であり、利益が農業経営を持続させる原動力となってこそ「真のサステナブル」だと考えます。
③サステナブル原料の価値向上
グリーン調達の市場を発展させていくには、一般的な原料と同列に扱われるのではなく、サステナブルな原料として付加価値をつけ金銭的にも社会的にも適切に評価されることが重要です。
④PR効果、企業価値向上
『SCOPE 3 Neo』の原料を使用した製品にはCO2削減量を表示することが可能です。差別化やブランディング、環境貢献に関するPRができると共に、企業評価調査などに記載することで、企業価値向上につなげることができます。
■企業の排出量を把握する仕組み「Scope1・Scope2・Scope3」とは
2001年に策定された温室効果ガス(GHG)の排出量を算定・報告するための国際的なガイドライン「 GHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)」 により定められた仕組みです。
工場や自社車両から直接出るのがScope1、購入した電力や熱の利用によるのがScope2。そしてScope3は、原材料の調達から生産委託、物流、製品の使用や廃棄にいたるまで、自社の外で起こりながらも、自社の事業に起因する排出を指します。
■Scope3に挑む難しさと重要性
企業全体の排出の70〜90%がScope3によるものとされ、本当の意味で脱炭素を実現するには企業がバリューチェーン全体に向き合う必要があります。
また投資家は、Scope3の情報を企業のサステナビリティ評価において重要な指標としており、日本政府でも「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、国際基準(ISSB/SSBJ)に基づき、Scope1・2・3の開示義務化に向けた制度整備を段階的に進めています。
しかしScope3削減に取り組むことは容易ではなく、排出データはサプライチェーンの隅々に散らばり、算定の基準は国や企業ごとにばらつき、信頼性が十分でない情報も流通しています。Scope3は最も大きな削減余地を持ちながら、最も企業を悩ませる領域でもあるのです。
■Onplanetz株式会社について https://onplanetz.com/
AI技術 xブロックチェーン技術をコアに企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるテクノロジーファーム。上場企業を含む150以上のプロジェクト支援実績と8年の知見を活かし、先端技術による課題解決と社会実装に日々取り組む。
■株式会社sustainacraftについて https://sustainacraft.com/
「自然資本への資金循環の促進」をミッションに掲げ、自然由来カーボンクレジットのデューデリジェンスおよび調達支援を専門とするスタートアップ企業。2024年9月には信頼性の高い海外クレジットを効率的に調達可能とする「nature.cocraft」の提供を開始。
■森をつくる農業「アグロフォレストリー」とは
アグロフォレストリーは農作物と樹木を混植する農法で、世界各地でさまざまな実践例があります。当社のサプライヤーであるCAMTA農協が取り組むアグロフォレストリーは、アマゾンの荒廃地に多様な果樹や材木の苗や単年作物を植えていきます。1年目から継続的に収穫を得られることが特長で、果樹栽培をしながら樹木を育て森林を再生していきます。
従来の単一栽培ではできなかった持続的な生産が可能となり、森をつくるだけでなく、雇用を生み、地域の発展にも寄与するなど、社会・経済・環境の側面からメリットがあるサステナブルな農法として世界中から注目されています。

■アグロフォレストリーのCO2削減効果
アグロフォレストリーのメリットのひとつにCO2の吸収があります。下図は原生林を伐採した後に単一栽培を行い、アグロフォレストリー農法を行った際のバイオマス量※の変化をイメージしたものです。伐採によりバイオマス量が急減し、単一栽培によって土壌養分が枯渇し荒廃地化しますが、アグロフォレストリーに変換後は樹木の成長と共にCO2を吸収・固定していきます。農業という経済活動を行いながら森林を回復させる希少なモデルです。
※生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」。
■トメアス総合農業協同組合(CAMTA)
CAMTAはブラジルのアマゾン地帯にあるパラ州トメアスに移住した日本人が1931年に創立した農業組合です。創立当初は野菜や米の販売をおもな事業とし、のちにコショウの一大生産地へと発展し、病害による壊滅的な被害を受けた失敗からアグロフォレストリーへの転換を先導しました。現在ではジュース工場も運営し、アマゾンフルーツの生産とアグロフォレストリーの発展を推進しています。また、アサイーの量産化成功によりアサイーを世界に広めたパイオニアでもあり、当社の創立時よりアマゾンフルーツの供給を担う、唯一無二のパートナーです。

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